お子さんが学校に行かなくなり、引きこもってしまうと、いろいろなことが心配になってきます。
このように、さまざまな心配が頭をよぎることでしょう。
時には、「このまま命を絶ってしまったらどうしよう」と、不安に駆られることもないでしょうか。
そして残念なことに、その考えが時には現実になってしまうこともあります。
不登校になってしまった子は、
でも、安心して下さい。
自殺のリスクが高いことを理解し、正しく対処できれば、最悪の事態を回避することができるのです。
この記事では、
※日本財団ジャーナル 若者に自殺を考えさせる多くの原因は「いじめ」、「不登校」経験も強く関連。そのとき相談する相手は誰?
- この記事の目次
-
- 1章: 不登校・引きこもりの子は自殺リスクが高くなる
- 1-1: 不登校・引きこもりと自殺リスクの共通点
- 1-2:自殺未遂や自殺念慮(自殺したいと思うこと)と不登校は連鎖する?
- 1-3:子供と向き合うことで、自殺リスクを減らす
- 2章: 不登校・引きこもりの子の自殺リスクを回避するには
- 2-1自殺はストレスにさらされている子供の最大の危機
- 2-2:子供はサインを出している
- 2-3:必要なのは「頼れる大人」
- 3章:誰かに相談することが、1番の防止策
- 3-1:長期的な支援が必要
- 3-2:どんな人に相談したら良いのか
- 3-2-1:家族
- 3-2-2:学校やフリースクール、教育支援センターの先生
- 3-2-3:医療機関
- 3-2-4:カウンセラーなど心の専門家
- 3-3:相談先は変えても良い
- まとめ
1章: 不登校・引きこもりの子は自殺リスクが高くなる
日本財団が2018年に行った調査(※)によると、18歳から22歳までの若者のうち、自殺念慮は30%、自殺未遂は11%の人が経験しているという結果がでました。
しかし、
自殺というといじめを連想する方も多いでしょうが、いじめ経験者で自殺念慮があったのが58%、自殺未遂が24%と、
何故、不登校経験者は、自殺リスクが高くなるのでしょうか。
不登校と自殺の関係について、詳しく見ていきましょう。
※日本財団ジャーナル 若者に自殺を考えさせる多くの原因は「いじめ」、「不登校」経験も強く関連。そのとき相談する相手は誰?
1-1: 不登校・引きこもりと自殺リスクの共通点
不登校を経験した子は、そうでない子と比べて、自殺念慮が2倍以上、自殺未遂に至っては3倍以上も割合が多くなります。
不登校経験者の自殺リスクが高くなるのは、
不登校も自殺も、いろいろなストレスが積み重なり、限界に達したところできっかけとなる出来事によって引き起こされます。
子供が不登校になる原因については、こちらの記事で詳しく解説しています。
不登校の原因は4つ!学年別の原因・対処法と7つの解決策を解説
どちらもストレスが積み重なった結果ですが、そのストレスの原因となるものも共通しています。
自殺未遂や自殺念慮を起こす主な原因は、「学校問題」と「家庭問題」です。
自殺を考えた子の48%が、学校問題を理由としており、家庭問題は32%となっています。
そしてこの2つは、不登校でも大きな理由となっています。
不登校は、ストレスから自分を守るための行動です。
つまり、不登校・引きこもりと自殺は無関係ではないのです。
1-2:自殺未遂や自殺念慮(自殺したいと思うこと)と不登校は連鎖する?
そして、不登校と自殺リスクとの関係は、不登校だった時期によっても変わってきます。
日本財団の調査によると、現在不登校もしくは1年以内に不登校だった子の方が、1年以上前に不登校だった子よりも、自殺未遂を起こすリスクが高くなったという結果が出ています。
つまり、
ただ、注意して欲しい点があります。
共通点があると言っても、不登校となっている子全員が、自殺リスクを抱えているわけではないのです。
自殺リスクを抱えている子は、いじめや家庭不和など、対人関係の問題で悩んでいることが多いのですが、不登校の場合、対人関係よりも学校や学業への不安や無気力などから学校へ行けなくなっている子供の方が多いのです。
つまり、
しかしそうは言っても、自分の子供がどうして学校に行けなくなってしまったのか、その理由をすぐに理解できる親はいません。
子供の問題を理解できていれば、不登校を起こす前に問題を解決できていたはずだからです。
まずは、お子さんがどんな問題を抱えているのか、理解する必要があります。
それによって、
不登校の原因については、こちらの記事で詳しく解説しています。
不登校の原因は4つ!学年別の原因・対処法と7つの解決策を解説
1-3:子供と向き合うことで、自殺リスクを減らす
お子さんの自殺リスクを回避するため、親がやるべきこと、それはお子さんと向き合って、理解してあげることです。
そしてこの、お子さんと向き合うことは、不登校や引きこもりに対処するための最初の一歩であり、基本中の基本でもあります。
つまり、自殺リスクを回避することは、不登校や引きこもりの解決や改善にもつながるのです。
では、どのようにして自殺リスクを減らしていけば良いのか、次章で詳しく解説していきましょう。
2章: 不登校・引きこもりの子の自殺リスクを回避するには
不登校・引きこもりの子の自殺リスクを減らすために、まずやるべきことは、お子さんと向き合い、お子さんの状態を理解することです。
しかし、内にこもっているお子さんとコミュニケーションを取っていくのは至難の業でもあります。
そのために、まずお子さんがどういう状態に陥っているのかを知る必要があります。
ここでは、お子さんはどういう状態に陥っているのか、そして親はどうしたら良いのかについて解説していきます。
2-1自殺はストレスにさらされている子供の最大の危機
学校に行かないことで、身を守っているのが不登校ですが、自ら命を断って、それ以上ストレスにさらされないようにするのが、自殺です。
自殺未遂や自殺念慮は、強いストレスにさらされた子供の最大の危機です。
それを防ぐには、お子さんに、逃げ道を用意してあげる必要があります。
不登校・引きこもりのお子さんにとって、それは学校と距離を置くことです。
日本財団の調査(※)でも、
学校と距離を置くことは、子供のストレスをやわらげるためには必要なことなのです。
そして、
不登校・引きこもりになってしまったお子さんとどう接したら良いのかは、こちらの記事でも紹介しています。
【子供が不登校・引きこもりになったら】親ができる4つの事を解説
しかし、自殺リスクを減らすという観点では、信頼できる誰かに相談することが1番です。
相談すると言うことについては、3章で詳しく解説します。
また、こちらの記事でも解説していますので、こちらもご覧下さい。
不登校の相談先5つ!相談するメリットと施設の選び方を徹底解説
※日本財団ジャーナル 若者に自殺を考えさせる多くの原因は「いじめ」、「不登校」経験も強く関連。そのとき相談する相手は誰?
2-2:子供はサインを出している
不登校になった子供が、さらに追い詰められた状態が、自殺です。
そして、
最悪の事態を防ぐためには、そのサインに気づいて早急に対応することです。
サインとは、「普段と違った顕著な行動の変化(※)」です。
そもそも不登校や引きこもりを起こすこと自体、「
- 怪我が増える(自分で自分を傷つけている場合もある)
- 身の回りの整理整頓、大切なものを誰かにあげたりする
- 性格が変化する
などと言った行動は、自殺の前触れになると考えて良いでしょう。
また、
- 自殺をほのめかす
- 自殺の具体的な計画を立てている
といった、明らかなサインを出してくれるときもあります。
何より、お子さんの些細な変化に気づけるのは、親御さんです。
「あれ?なんかおかしい」
「この様子、大丈夫かな?」
そう感じたら、学校や医療機関やスクールカウンセラーなどに、まず相談することです。
2-3:必要なのは「頼れる大人」
お子さんの自殺リスクに気づいたら、まずは、話を聞いてあげることです。
そうすることで最悪の事態を回避し、さらに抱えている問題を解決する糸口が見えてきます。
しかし、「話を聞いてくれるのなら誰でも良い」というわけではありません。
自殺の危機にさらされている子供たちにとって必要なのは、話を聞いて、問題解決のために動ける人です。
つまり、
この「頼れる大人」については、次章で詳しく解説します。
3章:誰かに相談することが、1番の防止策
実は、不登校や引きこもりを起こしている子供は、自分自身の心に抱えている問題をすべて理解しているわけではありません。
実は、
感じていることなど今の気持ち、こうしたいと言った願望などを言葉にしているうちに、少しずつ問題を整理し、それを乗り越える方法や、解決策を見つけることができるようになります。
しかし、自殺したいほど追い詰められているときは、相談したくてもできません。
その不安定な状態が、「
そのサインに気づいて、話を聞いてあげることが、自殺リスクを回避する1番の方法です。
他人と接する機会が減る不登校・引きこもりの子供にとって、そのサインに気づけるのは、他でもない家族です。
親御さんを始めとする家族こそ、自殺のストッパーとなり得るのです。
しかし、家族の力だけでは、自殺の原因となっている問題の解決には限界があります。
学校側の問題を解決したり、復学を目指すためには、学校や教育支援センター、フリースクールといった教育機関の連携は不可欠ですし、病気が自殺の原因になっている可能性もあるので、医療機関との連携も必要です。
では具体的にどうすれば良いのかについて、解説していきます。
相談先についてはこちらの記事もご覧下さい。
不登校の相談先5つ!相談するメリットと施設の選び方を徹底解説
3-1:長期的な支援が必要
そして、前述したように、お子さん自身も、自分の抱えている問題の全てを、自覚しているわけでもないのです。
そのため、長期に亘って、支援を続けられる体制を作る必要があります。
特に学校側は、教師の異動や進学・転学による学校の変更などがあり、安定した支援を受けるには限界があります。
学年や学校が変わった場合はどうしたらいいのか、体制が変わったときの対応も考えておくと良いでしょう。
また、フリースクールや教育支援センターは、学校と違って継続的な支援が可能ですし、在籍校との連携もしっかりとしています。
フリースクールの特徴や費用などについては、こちらの記事もご覧下さい。
【タイプ別】不登校のためのフリースクールの特徴や費用を徹底解説
3-2:どんな人に相談したら良いのか
不登校・引きこもりの子供の自殺を回避するためには、相談することが1番です。
そして、お子さんが抱えている問題によって、適している相談先というのも変わってきます。
不登校・引きこもりの子供に適した相談先は
- 家族
- 学校やフリースクール、教育支援センターの先生
- 医療機関
- カウンセラーなど心の専門家
などです。
それでは、詳しく見ていきましょう。
3-2-1:家族
日本財団の調査(※)では、困難に直面したとき、両親や祖父母と言った家族に相談する人が多かったという結果が出ています。
そして、不登校・引きこもりの子供は、他人と接する機会が減るため、異変に気づく事ができるのも、他でもない家族です。
つまり、親御さんをはじめとする家族こそ、お子さんの自殺リスクを回避するキーパーソンともなるのです。
このほか、お子さんが不登校・引きこもりになってしまったとき、親ができることは、こちらの記事でも解説しています。
【子供が不登校・引きこもりになったら】親ができる4つの事を解説
※日本財団ジャーナル 若者に自殺を考えさせる多くの原因は「いじめ」、「不登校」経験も強く関連。そのとき相談する相手は誰?
3-2-2:学校やフリースクール、教育支援センターの先生
1章でも述べましたが、子供が自殺リスクを持つとき、学校に原因があることが少なくありません。
そのため、問題を解決するには、学校の先生の力が必要不可欠になります。
また、
そのため、親にとっても頼れる相談先であると言えます。
しかし、不登校や引きこもりになってしまっている子供の場合、学校自体に拒否感を持ってしまっていることが少なくありません。
その場合は、フリースクールや教育支援センターの先生を頼るという方法もあります。
【タイプ別】不登校のためのフリースクールの特徴や費用を徹底解説
3-2-3:医療機関
そして、病気の悩みから自殺に走るケースは少なくありません。
また、うつ病など自殺を誘引する心の病もあります。
10代になると、大人と同じような精神疾患を発症するようになります。
また、起立性調節障害など、10代が発症しやすい病気もあります。
これらの病気は、素人では判断つきかねるため、
こういった症状に対応している診療科は、精神科や心療内科のほか、思春期外来があります。
また、お子さんが精神科などに拒否感を示した場合、一度、かかりつけ医に相談してみるという方法もあります。
かかりつけ医で対応できる場合もありますし、そこで対応できない場合は、適切な医療機関を紹介してくれるはずです。
病気などが不登校の原因になっていることは、こちらの記事でも解説しています。
不登校の原因は4つ!学年別の原因・対処法と7つの解決策を解説
3-2-4:カウンセラーなど心の専門家
お子さんの自殺を回避するために、家庭・学校・医療機関以外で、もう1つ頼れる所があります。
それは、自殺や不登校に特化した専門家です。
一番身近なのは、学校に派遣されている
スクールカウンセラーは、必要に応じて担任や両親などにアドバイスを行いますが、子供とのカウンセリング内容を第三者に教えることはありません。
また、スクールカウンセラーに相談へ行くことで、登校扱いとなるため、欠席日数を減らす効果もあります。
また、民間のカウンセラーも数多くいるので、そちらに相談するという方法もあります。
学校と関係ないところで相談する一番の利点は、自分を取り繕う必要が無いということです。
スクールカウンセラーは、学校や両親とつながっているため、お子さんの心のどこかに学校や親への遠慮が入ってきてしまいます。
また、スクールカウンセラーは、学校という場で相談を行うため、学校に対しての拒否感が強いと利用できないこともあります。
そういったときは、民間のカウンセラーを利用すると良いでしょう。
カウンセラーを探すには、ネットなどで検索するという方法もありますし、このコノミライでも相談室を開設しています。
ぜひご利用下さい。
3-3:相談先は変えても良い
そのため相談相手は、長期に亘って「腰を据えて」話ができる人でなくてはなりません。
しかし、相談相手も人間です。
相性というのもあります。
お子さんとの相性が悪ければ、かえって余計に傷ついてしまうこともあります。
親が良い、この人は信頼できると思っていても、子供にとっては合わない相手であることがあるのです。
もし、お子さんの状態が改善しなければ、相談先を変えるというのも1つの手です。
相談先を選ぶ際、一番大切なことは、お子さんが相手を信頼して心を開けるかどうかです。
相手が気に入らないからと、相談先をころころ変えるのも事態を悪化させるだけですが、信頼できない相手と相談を重ねるのも、逆効果になります。
お子さんが相談できるような状態に持っていくのは親の役目ですが、相談相手を選ぶのはお子さんです。
相談させるまで、一苦労だったというご家庭は少なくないはずです。
しかし、だからといって最初に相談した相手に、最後までお世話になる必要もないのです。
まとめ
それは、不登校・引きこもりになってしまった原因と、自殺リスクを引き起こす原因に共通するものがあるからです。
自殺リスクは、不登校・引きこもり同様、学校から受けるストレスが原因となっていることが少なくありません。
そのため、
そして、自殺リスクのある子は、必ずサインを出しています。
他人と接する機会が減る不登校・引きこもりの子供が出すサインに気づけるのは、他でもない家族です。
根本的な問題が解決できない限り、自殺リスクは繰り返すため、長期にわたっての支援が必要となります。
その場限りの支援では無く、継続的な支援を行うことで、自殺リスクを回避することができます。
そして、根本的な問題の解決は、不登校・引きこもりの解決にもつながるのです。
自殺リスクは命の危機に直結する、深刻な問題です。
親子で抱え込まず、学校や医療機関、カウンセラーなど専門知識のある人たちの支援を受けることで、乗り越えることができます。
【この記事で紹介した参考記事 】
不登校の原因は4つ!学年別の原因・対処法と7つの解決策を解説
不登校の相談先5つ!相談するメリットと施設の選び方を徹底解説
【タイプ別】不登校のためのフリースクールの特徴や費用を徹底解説
【子供が不登校・引きこもりになったら】親ができる4つの事を解説
【参照】