あなたも、
「
「
「受験なんてできるんだろうか」
そんな心配をしていませんか?
お子さんの卒業後の進路は「高校進学」を考えている人がほとんどであり、実際に、99%近くの中学生が高校進学をしています。
しかし、
そのため、進路の選択肢としては「通信制高校・単位制高校・定時制高校・高等専修学校」の4種類があげられます。
不登校に悩む子供たちには、高校進学にあたって、さまざまな問題があります。
受験はどうなるのか、そもそも受験はできるのか、また、入学しても通い続けることができるのかなど、お子さん本人も、保護者の方も、悩みが尽きないのではないのでしょうか。
でも多くのお子さんが、それを乗り越えて進学を果たしています。
ここでは、どうしたら高校に進学できるのか、その実情や立ち塞がる4つの壁とその対応策などについて解説していきます。
合わせて、不登校の子供に向いている高校にはどんなものがあるのか、親が気を付けるべきことなども紹介します。
- この記事の目次
-
- 1章:不登校の中学生における進路とは?高校進学の実態
- 1-1: 高校から復学はできるのか
- 1-2: みんな、どんな高校を選んでいるのか
- 1-3: 再び不登校になってしまったら?
- 2章: 高校受験の4つの壁
- 2-1: 出席日数の壁
- 2-1-1: 出席日数が不足すると、受験できない高校がある
- 2-1-2: 教室で授業を受けなくても、出席日数は稼げる
- 2-2: 学力の壁
- 2-2-1:授業に出ないことがメリットになることも
- 2-2-2:どうやって受験勉強を進めていけば良いのか
- 2-3: 情報の壁
- 2-3-1:「進路学習」不足はどう影響する?
- 2-3-2:必要な情報は何処で得たら良いのか
- 2-4:気持ちの壁
- 2-4-1:受験へのモチベーションはその子によって違う
- 2-4-2:受験に対する拒否感への対処法
- 2-4-3:受けられる支援を最大限活用
- 3章: 不登校の子供に向いている高校
- 3-1:通信制高校
- 3-1-1:通信制高校とは
- 3-1-2:通信制高校のメリット・デメリット
- 3-1-3:通信制高校の一例
- 3-2:単位制高校
- 3-2-1:単位制高校とは
- 3-2-2:単位制高校のメリット・デメリット
- 3-2-3:関東圏内にある単位制高校の一例
- 3-3:定時制高校
- 3-3-1:定時制高校とは
- 3-3-2:定時制高校のメリット・デメリット
- 3-3-3:関東圏内にある定時制高校の一例
- 3-4:高等専修学校
- 3-4-1:高等専修学校とは
- 3-4-2:高等専修学校のメリット・デメリット
- 3-4-3:関東圏内にある高等専修学校の一例
- 4章:「高校」に行かないという選択肢
- 4-1:フリースクール・適応指導教室の継続利用
- 4-2:海外留学
- 4-3:高等学校卒業程度認定試験
- 5章:不登校からの高校受験、成功させるための親がやるべき4つのポイント
- 5-1:子供の気持ちに向き合う
- 5-2:安易に志望校を決めない
- 5-3:学校と連携を取る
- 5-4:子供を追い詰めない
- まとめ
1章:不登校の中学生における進路とは?高校進学の実態
高校受験にあたって一番気になるのは、ほかの不登校だった子は、どうだったのかということではないでしょうか。
中学で不登校を経験した生徒たちの進学がどうなっているのか、どのような高校を選んでいるのか、また高校でも再度不登校になってしまったらどうしているのか、この3点について解説していきます。
1-1: 高校から復学はできるのか
文部科学省が平成30年度に行った調査によると、小学6年では14,061人だった不登校者数が、中学1年生では31,046人と倍増します。
中学2年生では、43,428人とさらに増え、たった2年間で3倍近くの数の生徒が不登校となるのです。
在籍者数に占める不登校者の割合は、3.6%。小学校の0.7%から5倍以上増加しています。
一方、高校進学率ですが、同年の調査によると98.8%で、進学しない生徒はわずか1.2%しかいません。
つまり、
実際、復学のパターンの中で最も多いのが、高校進学をきっかけとすることなのです。
中学3年間、ほとんど学校に行っていない子や、小学校から不登校を繰り返していた子でも、高校進学をきっかけに学校に復帰しています。
※平成 30 年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について
※第25章 教育 25-12 進学率と卒業者に占める就職者の割合
1-2: みんな、どんな高校を選んでいるのか
小中学校と高校の大きな違いは、高校はいろいろな種類があって、
朝登校して夕方帰る、中学校に近い形で登校する学校もあれば、毎日登校しなくてもいい学校もあります。
毎日学校に通うことが負担だった不登校の生徒にとって、通いやすいと言える高校は、次の4種類です。
- 通信制高校
- 単位制高校
- 定時制高校
- 高等専修学校
これらの高校は不登校だった生徒を多く受け入れており、そこから大学や専門学校など、更に上の学校に進学している子もたくさんいます。
この4つの高校の特色などは、3章で詳しく説明しているので、先に読みたい方は、コチラをクリックしてください。
1-3: 再び不登校になってしまったら?
不登校は、繰り返し起こすことが少なくありません。
はじめは順調に高校に通っていても、何かのきっかけに再び不登校になってしまうこともあるのです。
そうなった場合、留年や退学になってしまう可能性もあり、進路の再選択の必要に迫られます。
もし、
とくに通信制高校は、秋入学も可能だったり、随時編入可能であったりと、リスタートをしやすい体制を整えているところが多数あります。
また、高校は、【義務】ではありません。
あえて高校に行かない、という選択肢も取ることができます。
詳しくは4章で解説しますが、小中の時と同じように、フリースクールや適応指導教室を利用することができますし、留学や高卒資格認定試験を目指すなど、高校をスキップする方法もあります。
高校は、義務教育ではないから「後がない」のではなく、義務教育ではないから「可能性がいっぱいある」のです。
しかし、不登校の生徒にとって高校受験は、大きな壁と感じているはずです。
次章ではまず、高校を受験するに当たって障壁となる、4つのことについて解説します。
2章: 高校受験の4つの壁
不登校の生徒が、高校受験に臨むとき、いろいろな困難=壁が発生します。
この壁は、大きく分けて次の4つになります。
- 出席日数の壁
- 学力の壁
- 情報の壁
- 気持ちの壁
この4つの壁とその解決策について、それぞれ順番に説明していきましょう。
2-1: 出席日数の壁
不登校というのは、読んで字のごとく学校に登校できない状態。
つまり、欠席日数が多く、出席日数が少なくなっています。
実は欠席日数は、受験に大きく影響します。
公立でも私立でも、出席状況を重視する高校が多いからです。
2-1-1: 出席日数が不足すると、受験できない高校がある
出席日数をどの程度重視するかは、私立は学校ごとで、公立は地区ごとで変わってきます。
出席日数を重視している地区になると、「欠席日数が多いと、高校に行けなくなる」ぐらい厳しいことを言われることもあります。
実際は、欠席日数が多いだけで高校進学の道が断たれるわけではないのですが、進学可能な高校が少なくなるのも事実です。
欠席日数の目安は、30日以内です。
多くの学校でこの基準を設けており、欠席日数が30日を越えると、その学校に合格することは不可能になります。
基本は、1年間の欠席日数が30日以内です。
つまり、1、2年の間は登校できていなくても、3年生で登校できれば、受験に響くことはないということです。
ただ、私立校の中には、3年間で30日以内という厳しい基準を設けているところもあるので、その点は注意が必要です。
2-1-2: 教室で授業を受けなくても、出席日数は稼げる
しかし、不登校状態から一転して、毎日登校するというのはそう簡単なことではありません。
また、出席日数のために無理に行かそうとすると、かえって不登校が悪化するおそれもあります。
そこでまず、「登校する=教室で授業を受ける」という考えを捨てることが必要です。
実は教室まで行かなくても、出席扱いになる方法は結構あるのです。
出席扱いになるものとしては、次の3つの方法があります。
保健室登校はもちろんですが、スクールカウンセラーとの面談だけでも、出席扱いにしてくれる場合もあります。
また、学校によっては、不登校生徒専用の支援学級や相談室を設けているところもあります。
適応指導教室(教育支援センター)は、教育委員会が設置している、不登校児童生徒のための公的支援施設です。
学校と連携しており、適応指導教室に通うことで、出席扱いとなります。
フリースクールは、民間が運営する支援施設ですが、こちらも学校と連携をしており、
お住まいの地域や学校によって、受けられる支援が変わってくるので、まず、学校側とよく相談をし、どの方法なら通い続けられるのか、お子さんの希望に添った選択をしましょう。
フリースクールについては、こちらの記事も参考にしてみてください。
【タイプ別】不登校のためのフリースクールの特徴や費用を徹底解説
2-2: 学力の壁
高校進学に当たって、もう1つ大きな壁となるのが学力です。
授業に出ていない分、当然、学習も足りなくなっています。
また、受験のために、何をどう勉強をしていいのか分からなくなっていることも、深刻な問題です。
不登校の生徒は、どのように受験勉強を進めていけば良いのでしょうか。
2-2-1:授業に出ないことがメリットになることも
不登校は、教室で授業を受けられない状態だからこそ、受験勉強を有利に進めることができます。
高校受験は通常、国語・数学・英語の3教科か、それに社会・理科を加えた5教科で実施されます。
公立は5教科、私立は3教科であることがほとんどですが、定時制など公立でも3教科の場合があります。
つまり、これら3教科もしくは5教科の内容が分かっていれば、試験問題を解くことができるわけです。
そこで、
他の子が授業で体育や美術などをやっている時間でも、受験の勉強ができるということは、大きなメリットにほかなりません。
2-2-2:どうやって受験勉強を進めていけば良いのか
では、具体的にはどうやって受験勉強を進めていけば良いのでしょうか。
まずは、滑り止めを含めて、だいたいの志望校を決めることをおすすめします。
そうすると、受験に必要なのは、3教科なのか5教科なのかが分かります。
そして、合格レベルも分かるので、『ここまで頑張れば良い』という目標も決まり、受験生のモチベーションも上がります。
あとは、本人にあった勉強方法で進めて行くわけですが、できれば適応指導教室やフリースクール、支援学級などを利用することをお勧めします。
これらの場所には、不登校生徒が受験に合格するための、ノウハウが蓄積されているからです。
ただ、絶対そういうところに行かなければ、合格できないというわけではありません。
家庭教師やオンライン学習を利用して、合格している生徒もいます。
2-3: 情報の壁
受験勉強に当たっては、志望校を先に定める方が良いと述べましたが、ここにもう1つの壁があります。
学校に行っていないことによって、
つまり、必要な情報が不足していることで、決めるに決められない状態になってしまう可能性があるのです。
2-3-1:「進路学習」不足はどう影響する?
中学に入学すると始まるのが、「進路学習」です。
これは「将来何になりたいのか」「どんな未来を選択できるのか」を調べたり体験することで、どんな進学先を選んでいけばいいのかということを学ぶカリキュラムです。
この進路学習を通して、高校の必要性やどんな学校を選べばいいのかが分かってくるのですが、不登校の生徒は進路学習に参加する機会が少なくなっています。
しかし、それによって志望校が選べなくなるというわけではないので、安心してください。
最初に説明したように、進路学習は、目先の高校受験と言うより
1、2年生のとき、進路学習に参加していないからといって、受験に失敗することはありません。
3年になってからでも、十分、間に合うのです。
2-3-2:必要な情報は何処で得たら良いのか
出席日数を確保するために、適応指導教室やフリースクールなどに通えるようになったら、必要な情報はそこで得ることができます。
ここなら、他の不登校の子はどこを受験したのか、どうやって受験勉強を進めて行ったのかなど、「不登校のための受験」のリアルな話がたくさんあるはずです。
3年生になっても引き続き登校が難しい状態の場合でも、できるかぎり登校して情報を得た方が良いのですが、ネットを活用して調べるというのも1つの手です。
この記事でも次章で紹介していますので、参考になさってください。
そして、オープンキャンパスや学校見学には、できる限り参加したほうが良いでしょう。
中学校とは違う雰囲気を、その目で確かめることによって、受験へのモチベーションを上げることができるからです。
次項では、その気持ちの問題について解説していきます。
2-4:気持ちの壁
不登校状態になっていると言うことは、その分、「気持ち」「心」が弱くなっている状態です。
そこに「受験」という大きなストレスがかかるので、受験生本人はもちろん、家族の負担も大変なものになります。
弱くなっている気持ちを、受験へどう持っていけば良いのでしょうか。
2-4-1:受験へのモチベーションはその子によって違う
不登校になる理由は人それぞれですが、「高校は通いたい」という理由も、その子によって変わってきます。
例えば「知り合いが誰もいない学校でやり直したい」と思っている子もいれば、「社会に出る自信が無いから高校に行かないと」と思っている子もいるでしょう。
何となく行かなきゃと思っている子と、絶対に行かなきゃと思っている子では、当然のことながらモチベーションは違います。
また自信のなさから、途中でやる気を失う子もいます。
お子さんは、どうして何のために高校に行きたいのか、どの程度のモチベーションで受験に挑んでいるのかということは、知っておく必要があります。
進路選択のアドバイスや、気持ちが行き詰まったときのフォローに、役立てることができるからです。
2-4-2:受験に対する拒否感への対処法
受験に対する個々のモチベーションは違うと言いましたが、「受験する」まで気持ちが行かないこともあります。
また、気持ちはあるけれど、行動に起こせないときもあるでしょう。
そういう後ろ向きな気持ちを、前向きにさせる方法をいくつかご紹介します。
オープンキャンパスや学校見学に参加させる
実際にその目で見て体験することで、高校に行ってみたいという気持ちを強くすることができます。
受験勉強の期間を決める
受験勉強は、試験日にあわせて1ヶ月ぐらいの期間限定にし、それまでは時間を与えて追い詰めないというのも1つの手です。
1ヶ月で合格できるの?と不安に思う方もいるかもしれませんが、不登校向きの高校なら、1ヶ月でも十分準備できるのでご安心ください。
高校に行かないという選択肢を提示する
これは4章でも解説しますが、高校に行かないという選択肢もありますし、10月から入学できる高校もあるので、今頑張らなくても大丈夫なことを伝えてみます。
面白いことに、「行かなくても良い」といわれると、逆に「行かなきゃ」「やらなきゃ」という気持ちになることがあります。
また、今回がダメでも他に方法があると分かることで、気持ちに余裕も持てます。
ここに紹介したことは、あくまでも一例です。
大切なことは、お子さんの気持ちや状態に寄り添い、追い詰めないことです。
そのためには親自身も、心に余裕を持つことが必要になってきます。
このことについては、5章でも改めて解説しますが、受験は親子の力だけでは成功しません。
どんな支援があって、どんな支援が受けられるかというのも知っておく必要があります。
2-4-3:受けられる支援を最大限活用
内申書(調査書)の作成はもちろん、受験に当たって学校は、高校とさまざまな調整を行ってくれます。
また受験準備や面接の指導なども、学校に行っていれば受けることができますが、不登校の場合はなかなか難しいこともあります。
そのような時は、
中には、適応指導教室のような支援教室を、学校内に設けているところもあり、担任と連携を取りながら受験指導をしてくれるところもあります。
ただ、適応指導教室や支援教室などは、全ての地域に設置されているわけではありません。
自分たちの地域にはどんな施設があって、どのような支援を受けることができるのか、受験までにしっかりと把握する必要があります。
3章: 不登校の子供に向いている高校
志望校を選ぶとき、迷うのが一般的な全日制高校にするかどうか、ということではないでしょうか。
令和元年に、文部科学省が適応指導教室対象に行った行った調査(※)によると、在籍していた生徒のうち、全日制高校を選んだのは全体の3割でした。
それ以外の生徒は、以下の高校を選んでいます。
(1)通信制高校
(2)単位制高校
(3)定時制高校
(4)高等専修学校
これら4つの学校について順を追って説明していきましょう。
(※) 「教育支援センター(適応指導教室)に関する実態調査」結果
3-1:通信制高校
適応指導教室に在籍していた生徒が、全日制高校の次に多く選んだのが、この通信制高校です。
通信制高校は、毎日学校に登校しなくてもいいので、不登校の生徒も通いやすいという魅力があります。
それでは、もう少し詳しく見ていきましょう。
3-1-1:通信制高校とは
通信制高校は、通信教育で高校の課程を学習する学校です。
3年間以上在籍し、所定の条件を満たすことで高校卒業資格を得ることができます。
授業は通信教育で行うため、通学は学校が定めた登校日(スクーリング)に登校する以外は、学校に行く必要がありません。
不登校が長く続いて毎日登校する自信が無かったり、人と接するのが苦手な人、また体調が優れない人などに向いている学校です。
3-1-2:通信制高校のメリット・デメリット
通信制高校の一番のメリットは、自分のペースで学習を進められることです。
また登校日以外、学校に行く必要がないので、時間の自由もききます。
また、登校する日が少ないため、学校や同級生との関係は、他の学校に比べて希薄になります。
これは、友人関係や学校に苦手意識が強い人にとっては、メリットになりますし、新たな関係を築きたいと思っている人には、デメリットとなります。
ほかのデメリットとしては、授業時間が決まっているわけではないので、勉強をサボりがちになってしまい、卒業するには強い意志の力が必要となる点です。
また学習を進めるに当たっても、基本は添削指導のため、分からない部分や質問があってもすぐに聞くことができません。
しかし、これら通信高校のデメリットは、サポート校などを利用することで補うこともできます。
3-1-3:通信制高校の一例
サポート校とは、通信制高校の単位取得や卒業をサポートしてくれる学校です。
通信制高校の中には、このサポート校を併設しているところもあります。
例えば、KTCおおぞら高等学院も、通信制高校とサポート校がいっしょになった学校です。
この学校は高卒資格だけでなく、いろいろな検定や資格の取得も支援してくれるのも魅力です。
また年に一回、屋久島でのスクーリングに参加できるなど、他の通信制高校ではできない経験もできます。
この学校は日本全国にサポート校のキャンパスがあるので、興味がある方は下記のリンクから資料請求をしてみてはいかがでしょうか。
KTCおおぞら高等学院の公式HPは、コチラ
3-2:単位制高校
毎日学校に通う必要はあるものの、通信制高校の次に自由度が高いのが、単位制高校です。
ここでは、単位制高校について説明していきます。
3-2-1:単位制高校とは
単位制高校は、学年による区分を設けず、決められた単位を取得すれば卒業できる高校のことです。
通信制高校でも単位制を導入している所が多いのですが、ここでは通信制以外の、定時制や全日制高校の単位制について解説します。
単位制高校では、必ず履修しなければならない科目もありますが、基本は自分の興味や関心に応じて科目を選択して、時間割を完成させます。
学年による区分がないため、中学と違って先輩後輩の区別が緩やかです。
また、個々で選択する科目が違うため、1日同じ顔ぶれで授業を受けるということもありません。
個人で動くことが多いので、「みんな同じ」に苦手意識がある人に向いている学校です。
また、履修科目を選べるので、学びたいことがはっきりしている人、自分にとって必要がないことは勉強したくないという人にも向いています。
3-2-2:単位制高校のメリット・デメリット
単位制高校の一番のメリットは、留年がないこと。
他の全日制高校では、1つの科目を落としてしまうと留年になってしまいますが、単位制は翌年や翌々年に取り直すことができます。
デメリットは、目的意識がないと、後で困ることがあるということです。
好き嫌いだけで科目を選んでいると、卒業はできるけれど、受験に必要な勉強ができていないという可能性が出てくるのです。
また、自分で科目を選べるとはいうものの、定員オーバーなどで希望の科目を履修できないこともあります。
3-2-3:関東圏内にある単位制高校の一例
単位制高校で検索すると、検索上位に出てくるのはほとんどが通信制高校です。
何故なら多くの通信制高校が、単位制を導入しているからです。
他に単位制を導入しているのは、定時制や全日制高校があります。
例えば、群馬県立太田フレックス高等学校は、1部(午前クラス)2部(午後クラス)3部(夜間)に別れた定時制高校で、多くの不登校生徒が進学しています。
この学校には、クラスが存在していません。
その代わり「ゼミ」と呼ばれる講座に所属し、このゼミを担当する先生が、自分の担任になります。
このゼミは、入学後自分で選びます。
3年か4年で卒業をすることを目安に単位を取得していきますが、必履修分の単位を取得していれば、最長8年在籍することも可能です。
修学旅行や体育祭といった一般的な学校行事は存在せず、団体行動が苦手な生徒が安心して通えるよう配慮しています。
3-3:定時制高校
定時制高校というと、働きながら通う高校というイメージが強いかもしれませんが、通学の負担が少ないため、不登校の生徒が多く通っています。
では、どういう点が不登校の生徒に向いているのか見ていきましょう。
3-3-1:定時制高校とは
定時制高校を簡単にいうと、学校での滞在時間が短くてすむ学校です。
普通の全日制高校ですと、朝から夕方まで学校にいて授業を受けます。
しかし定時制では、昼間なら昼間、夜間なら夜間と区切って、所属する生徒が変わります。
2部か3部に別れているところが主流ですが、中には4部制を取っている学校もあります。
全日制高校に比べると授業時間が少ないため、基本は4年間で卒業ですが、3年で卒業することも可能です。
3-3-2:定時制高校のメリット・デメリット
定時制の一番のメリットは、
授業内容も全日制高校より緩やかなので、勉強の負担も少なくなります。
デメリットは、授業内容が緩やかな分、大学進学を考えた場合、一般入試では不利になります。
定時制高校から大学に行く場合は、ほとんどが総合型選抜や学校推薦で進学しています。
また、専門学校を含めても進学率は3割ほどのため、進学するにはそれ相応の努力が必要であると考えていた方が良いでしょう。
3-3-3:関東圏内にある定時制高校の一例
定時制高校は、ほとんどが公立ですが、その数少ない私立定時制高校の1つが、国士舘高等学校の昼間定時制課程です。
始業時間が、全日制高校と比べて遅いため、朝が苦手でも無理なく通えるカリキュラムになっています。
また、この学校は、進路指導をしっかりと行っているのも特徴です。
国士舘高等学校では、付属大学を筆頭に、9割が大学もしくは専門学校などに進学しています。
3-4:高等専修学校
最後に紹介するのが、高等専修学校です。
他の3校に比べると馴染みが薄いかもしれませんが、この学校は、中学の卒業資格で入学できる専門学校です。
不登校生徒の進学先として、近年、注目が集まっている高等専修学校について、詳しく見ていきましょう。
3-4-1:高等専修学校とは
高等専修学校は、中学卒業者を対象に、実務を重視した教育を行う学校です。
工業、農業、医療、衛生、教育・社会福祉、商業実務、服飾・家政、文化・教養の八分野に別れた職業教育を学びます。
卒業後は、調理師のように国家資格を得られたり、高卒資格や大学受験資格を得られるものもあります。
修業年数は、コースによって違いますが、最短で1年、最長で5年です。
近年、高等専修学校は不登校者へのセーフティーネットとして注目されており、不登校者のみを対象としている学校もあります。
3-4-2:高等専修学校のメリット・デメリット
高等専修学校のメリットは、なんと言っても資格や技能を身につけられることです。
また学校によっては、高卒資格や大学受験資格を得られるというのも、大きなメリットでしょう。
一方のデメリットですが、資格や技能取得に特化しているため、在学中の進路変更が難しいという点です。
また高等専修学校の数自体が少ないため、通える範囲に希望する学校がない可能性があります。
平成29年度時点で、3,172校ある専修学校の中で、高等課程があるのは418校。
そのほとんどが、人口の多い都市部に存在しています。
3-4-3:関東圏内にある高等専修学校の一例
埼玉県にある大川学園高等学校福祉科は、高等学校と高等専修学校、両方の卒業資格を得ることができます。
ここでは、介護職員初任者研修が終了でき、卒業後は系列校の専門学校に進学可能なシステムを取っています。
また、この学校は、週1回登校の通信制のコースもあり、不登校生でも安心して学べる学校となっています。
4種類の学校をご紹介してきましたが、不登校からの進学先は、意外といろいろあるのがおわかりいただけたでしょうか。
どのタイプの学校に行くのかは、まずはお子さんの希望です。
そこに、通学しやすさや続けられそうかどうかなどを考慮して、志望校を決めることが大切です。
だた、進学先が本当にお子さんに合っているのかどうか、通い続けることができるかどうかは、実際に通い始めてみてからではないと分かりません。
場合によっては、不登校が再発してしまうこともあります。
その場合はどうしたら良いのかは、次章で解説します。
4章:「高校」に行かないという選択肢
高校は義務教育ではありません。
だから、無理してまで通う必要もないのです。
もし、お子さんが再び不登校になってしまったら、もしくは高校進学を希望しなかったら、どんな選択肢があるのでしょうか。
ここでは、「
4-1:フリースクール・適応指導教室の継続利用
小中学校の時からお世話になっていたところに、引き続き通うのは、親も子も心理的負担が少なくなるというメリットがあります。
フリースクールは、中学卒業後も問題なく利用が可能です。
高校に通わず、フリースクールで支援を受けながら、大学入学を目指すという方法を取ることもできます。
一方の適応指導教室ですが、施設によって対応が違うので注意が必要です。
まず、高校生の利用が可能なところはあまり多くはありません。
しかし、施設によっては、中退でも高校に行っていなくても利用できるところがあります。
また、出席扱いになるかどうかは学校によって対応が違うので、復学前提でこれらの施設を利用する場合は事前に確認を取ってください。
4-2:海外留学
この記事を書いている2020年9月時点では、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックによる渡航制限が続いているため、すぐに利用できる選択肢ではありませんが、
視野が広がるだけでなく、日本を離れることで自身を客観的に見直すこともでき、精神的な成長が期待できます。
高校生対象の奨学金もあるので、選択肢の1つとして考えて見てはいかがでしょうか。
4-3:高等学校卒業程度認定試験
高等学校卒業程度認定試験(高卒認定試験)は、高校卒業程度の学力があるかどうかを認定する試験です。
この試験に合格すれば、大学や専門学校の受験資格などを得ることができます。
16歳以上であれば受けることができ、全日制高校に在学中でも試験を受けることができます。
中退や在学中の場合、すでに取得した科目分の試験は免除されるので、最低1科目の受験で高卒認定を受けることも可能です。
保健室登校だった子が、高卒認定試験合格を機に教室に戻れたという例もあるので、学校に行けない、進級や卒業が危ないと感じ始めたら、試験を受けてみるのも良いかもしれません。
このように、お子さんは高校に行っても、行けなくても、行かなくても良いのです。
義務教育ではないとは、そういうことです。
高校受験に前向きであるのであれば、お子さんの気持ちを尊重して支えてあげる必要があります。
最後に、親はどうしたら良いのかについてお話ししていきます。
5章:不登校からの高校受験、成功させるための親がやるべき4つのポイント
お子さんが、高校受験に挑むに当たって4つの壁があると言いました。
その件を乗り越えるためには、親のサポートも重要になってきます。
そこで親のやるべきことも、4つにまとめてみました。
5-1:子供の気持ちに向き合う
不登校になってしまっているお子さんは、さまざまな葛藤を抱えています。
いろいろな感情が渦巻いている中でも、ほとんどのお子さんが「このままではいけない」と思っています。
事実、多くの不登校の子は、高校進学をきっかけに復学をしています。
何年も不登校を続けていた子供でも、高校から学校に戻っている子は、少なくありません。
2章でも触れていますが、お子さんがどんな気持ちで、高校受験に挑んでいるのか、まず、そこを理解してあげることが大切なのです。
5-2:安易に志望校を決めない
不登校だと、進学できる学校も限られていると言いましたが、3・4章で解説したとおり、選択肢はいろいろ存在しています。
お子さんが進路に投げやりになって「ここは近いし不登校の生徒でも受験できるから」と、安易に志望校を決めてしまうと、後で後悔してしまう可能性があります。
それぞれの学校には特色があり、お子さんの特性や希望などで、どの学校が合っているのかが変わってきます。
5-3:学校と連携を取る
高校受験は、内申書の作成はもちろん、受験に関して必要なことは学校を通して行うことになります。
不登校の状態になっていると、何を何時までにしなくて行けないのかが把握しにくく、期限ギリギリになってからはじめて学校から連絡が来ることもあります。
それを防ぐには、学校側とこまめに連絡を取ることです。
また、ネットでは把握しにくい学校の情報も、学校を通して知ることもできます。
中学3年になったら、学校からの連絡を待つのではなく、
5-4:子供を追い詰めない
受験は、お子さんだけでなく親の神経もすり減るものです。
だからといって、イライラを当事者であるお子さんに向けてはいけません。
前向きに取り組めないお子さんを見て、ついつい発破をかけたくなることもあるでしょうが、2章でお話ししたように、お子さんはいろいろなことを考えて受験に臨んでいます。
親としてやるべきことは、お子さんを受験へせき立てることではなく、この受験がダメでも次があると、心に余裕を持ってお子さんを見守ることです。
第一志望に合格することがプランAなら、秋に通信制高校に入学することをプランBに、高卒認定試験目指して見ることをプランCと、長い目で見れば先はいくらでもあります。
お子さんの不登校は、親も辛いことです。
でも、
まとめ
高校進学は、学校に戻る大きなきっかけになります。
不登校だった生徒も、大半は高校など上の学校に進学を果たしています。
しかし、受験に当たっては次の4つの壁が立ちはだかります。
- 出席日数の壁
- 学力の壁
- 情報の壁
- 気持ちの壁
これら4つの壁は、適切なサポートがあれば乗り切ることができます。
また、受験にあたっては、お子さんにあった志望校を選ぶことも重要です。
毎日登校する必要が無い通信制高校
→通信制高校の一例・・・「KTCおおぞら高等学院」
留年がなく、自分で学習内容を選べる単位制高校
→単位制高校の一例・・・群馬県立太田フレックス高等学校
朝早起きしなくても通える定時制高校
→定時制高校の一例…「国士舘高等学校昼間定時制課程」
専門的な技能や資格が得られる高等専修学校
→高等専修学校の一例…「大川学園高等学校福祉科」
以上の高校には、多くの不登校だった生徒が通っています。
どんな学校がお子さんにとって一番良いのか、よく考えて志望校を選びましょう。
しかしどうしても高校に行きたくない、行けないということになっても、取るべき道はあります。
フリースクールや適応指導教室、海外留学など、違う方法で勉強を続ける方法もありますし、高卒資格認定試験に受かれば、大学や専門学校にも行くことができます。
※フリースクールについてはこちらで詳しく解説しています。
【タイプ別】不登校のためのフリースクールの特徴や費用を徹底解説
いろいろな選択肢があることを理解した上で、自分自身に合った進路に進めるよう、親はしっかりとサポートすることが大切です。
【参考資料】
平成 30 年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について